Letter

フォトニクス:マイクロワットしきい値のマイクロメートルスケール・シリコンラマンレーザー

Nature 498, 7455 doi: 10.1038/nature12237

シリコンエレクトロニクスに新技術を適用する研究が、ムーアの法則の物理的限界を克服するために集中的になされてきた。ムーアの法則とは、集積チップ上の部品の数が2年ごとに2倍になる傾向が認められることである。こうした研究例でシリコンデバイスは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイスに適合するオンチップフォトニック集積回路という大きな可能性を有しており、この10年間でさまざまな主要素子が実証されてきた。特に、ラマン効果の利用に注目することによって純粋なシリコンに能動光機能が付与され、連続発振する全シリコンレーザーが実現されるに至っている。この成果はシリコンフォトニクスに向けての重要な一歩であるが、目標であるマイクロメートルサイズに小型化することとマイクロワット出力までレーザー動作しきい値を下げることは、まだ達成されていない。そうしたシリコンレーザーは、逆バイアス印加p–i–nダイオードを利用しても、しきい値が20 mWを超え、共振器の大きさがセンチメートルサイズに限られる。今回我々は、フォトニック結晶高Q値ナノ共振器を用いてp–i–nダイオードを必要としない連続発振するシリコンラマンレーザーを実証する。このデバイスの共振器サイズは、10 μm未満であり、レーザー発振しきい値は1 μWとこれまでになく低い。我々のナノ共振器設計は、「光–物質相互作用の強さは共振器Q値を共振器体積で割った値に比例する」という原理を利用したものであり、理論予測を超える大幅なラマン利得の増加を可能にしている。このようなデバイスは、フォトニック回路の大規模集積化に向けて実用的なシリコンレーザーや増幅器の構築を可能にするかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度