Letter

地球:河川浸食と地すべりとの間のフィードバックによって決まる山脈の寿命

Nature 498, 7455 doi: 10.1038/nature12218

地形学における重要な課題の1つは、構造運動が不活発な古い造山帯中にある急峻な山脈地形が長期間保持されていることと、構造運動が活発な山脈で観測される高い河川下刻速度の関係を理解することである。河川の基岩浸食や土砂輸送は、山脈の寿命を支配する主因であると広く考えられている。しかし、浸食速度を決める要因や、そうした要因が構造運動の活動度の関数として大きく変化するように見える理由は、まだわかっていない。本論文では、コンピューターシミュレーションを使って、構造運動が活発な山脈と不活発な山脈の間の浸食速度の違いを理解する手がかりは、河川の基岩浸食と地すべりの間の双方向的なつながりと関連している可能性があることを示す。河川下刻によって、周囲の丘の斜面が急勾配になり、地すべりの頻度が増えるが、地すべりは2つの根本的に異なる方法で河川浸食速度に影響を及ぼす。1つは、大きな地すべりが河川の輸送能力を大きく超えると、上流で堆積物の蓄積が起こり、河床はさらなる浸食から守られる。もう1つは、地すべりによって流れに研磨材が運ばれ、河川下刻が促進される。我々のモデルは、活発な山脈と不活発な山脈における河川下刻速度に、このつながりがどのようにして根本的に異なる影響を与えるか説明する。従って、造構活動が事実上終わった後数億年までの古い造山帯に急峻な山脈地形が保持されていることのもっともらしい物理的な説明が、このつながりから得られる。

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