Letter
合成生物学:生きている細胞における合成アナログ演算
Nature 497, 7451 doi: 10.1038/nature12148
合成生物学の重要な目標は、診断、治療、生物工学への応用のために、生きている細胞で多くのシグナルを統合し、処理することである。小規模な回路の構築にはデジタル論理が用いられてきたが、細胞というリソースの限られた環境下で効率的な計算を行うには他のフレームワークが必要と考えられる。今回、我々は、わずか3つの転写因子の使用によって、生きた細胞において高度な演算機能を実行する合成アナログ遺伝子回路を構築できることを示す。この合成アナログ遺伝子回路は、フィードバックを利用して、対数線形のセンシング、加法、レシオメトリック(入出力比例)、べき乗の計算を実行する。この回路は自然界の生物システムと同様に、ウェーバーの法則に従ったふるまいをする。また、最大4桁の広いダイナミックレンジで動作し、調節可能な伝達関数を持つように設計できる。我々の回路は、複雑な生化学モデルと単純な数学的関数の両方を用いてきちんと記述される高次関数を実行するように構成できる。この方法を用いれば、もともと細胞に自然に存在しているアナログ関数を構成要素に用いて、対数領域内の数値演算や複雑な関数を効率的に実行可能である。このような回路は、限られた要素を使っての複雑な計算やダイナミックレンジの広いバイオセンシングを必要とし、また遺伝子発現の微調整の恩恵を受ける可能性のある、合成生物学やバイオテクノロジーの新しい応用につながるものである。

