細胞:BAF複合体はトポイソメラーゼIIαによるDNAのデカテネーションを促進する
Nature 497, 7451 doi: 10.1038/nature12146
ヒト腫瘍についての最近のエキソン塩基配列解読研究から、BAF(哺乳類のSWI/SNF)複合体のサブユニットが全ヒト悪性腫瘍の20%以上で変異していることが明らかになったが、腫瘍抑制に関与する機構は解明されていない。BAFクロマチンリモデリング複合体は、多型性のある集合体で、ATP加水分解によって供給されるエネルギーを用いて、クロマチン構造の制御やゲノム全体にわたるPRC2(Polycomb repressive complex 2)の配置を介して、転写を調節する。BRG1(別名SMARCA4)およびBAF250a(別名ARID1A)などの、この多サブユニット複合体を構成するタンパク質のいくつかは、認識されているがん抑制因子の変異と同程度の頻度で変異が見られる。特に、コアとなるATPアーゼのBRG1は、小児髄芽腫の5〜10%およびバーキットリンパ腫の15%以上で変異が見られる。本論文では、新たに複製された姉妹染色分体のデカテネーション(有糸分裂過程で適切な染色体分離のために必要)の際に、BAF複合体がこれまで知られていなかった機能を担っていることを示す。我々は、マウス細胞におけるBrg1の欠失も、ヒト腫瘍に同定されているBRG1の点変異体の発現も、姉妹染色分体が連環状DNA鎖によって連結される分裂後期架橋形成および、デカテネーション・チェックポイントの特徴であるG2/M期停止を引き起こすことを見いだした。内因性BAF複合体は、BAF250aを介して、直接、内因性トポイソメラーゼIIα(TOP2A)と相互作用しており、TOP2Aがゲノム全体にわたる約12,000か所の部位に結合するのに必要である。 我々の結果は、TOP2Aのクロマチン結合がBRG1のATPアーゼ活性に依存していることを実証しており、このATPアーゼ活性は、発がん性BRG1変異体で低下している。これらの研究は、有糸分裂時にDNAの絡み合いを防止するTOP2Aの能力にBAF複合体が必要であることを示し、また、この活性ががん抑制因子としてのBAFサブユニットの役割に寄与していることを示唆している。

