Letter

生態:長期的な温暖化は北極域で正味の土壌炭素貯蔵量を変化させずにツンドラを再編成する

Nature 497, 7451 doi: 10.1038/nature12129

高緯度域には全球土壌炭素のほぼ半分が存在するため、北極域の陸上炭素収支が気温の上昇にどう応答するかの解明に関心が集まっている。低温は土壌生物相の活動を抑制して分解および窒素放出を遅らせ、それが植物の生育や微生物の増殖を制限する。温暖化は、当初は分解を加速させるため、利用可能な窒素の量が増加して生産力が上昇し、木本植物の優占度が高まる。しかし、そうした応答は一過性のものだとも考えられる。なぜなら、土壌温度の動態を変えて土壌群集の構造や活動を変化させるような、共役的な非生物–生物フィードバックループが発達する可能性があるためである。本論文では、アラスカのツンドラ生態系で20年にわたって行った夏季の温暖化実験の結果を示す。温暖化により、植物バイオマスが増加して木本の優占度が高まり、間接的に冬季の土壌温度が上昇し、層位を超えて土壌栄養構造が均一化され、表層土壌分解者の活動が抑制されたが、土壌の炭素および窒素の総貯蔵量は共に変化せず、そのため正味の生態系炭素貯蔵量は増加した。注目すべきことに、最も大きい影響は無機層位で見られ、そこでは、温暖化が分解者の活動を高めて炭素貯蔵量を増加させる、地下深部での「生物的覚醒」が起こっていた。

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