老化:保存された寿命関連機構としてのミトコンドリア–核タンパク質不均衡
Nature 497, 7450 doi: 10.1038/nature12188
寿命は、密接に連携した代謝系が作るネットワークによって調節されている。我々は、マウスの集団遺伝学研究と線虫(Caenorhabditis elegans)でのRNA干渉を併用して、ミトコンドリアリボソームタンパク質S5(Mrps5)をはじめとするミトコンドリアリボソームタンパク質が代謝および寿命の調節因子であることを明らかにした。MRPをノックダウンすると、ミトコンドリアと核との間にタンパク質の不均衡が生じ、ミトコンドリアの呼吸が低下して、ミトコンドリア折りたたみ異常タンパク質応答(mitochondrial unfolded protein response)が活性化する。ミトコンドリアでの翻訳を標的とする特定の抗生物質および臭化エチジウム(ミトコンドリアDNAの転写を損なう)は、mrpのノックダウンを薬理学的に模倣し、ミトコンドリアと核にコードされたタンパク質の化学量論的不均衡、すなわちミトコンドリア–核タンパク質不均衡(mitonuclear protein imbalance)を誘導することによって線虫の寿命を延長させる。この機構は哺乳類細胞でも保存されていた。また、異なる標的分子に作用する寿命関連物質であるレスベラトロールおよびラパマイシンも同様に、線虫でミトコンドリア–核タンパク質不均衡、ミトコンドリア折りたたみ異常タンパク質応答、および寿命延長を引き起こす。以上のデータを総合することにより、MRPが進化的に保存されたタンパク質ファミリーであり、ミトコンドリアリボソームおよびミトコンドリア–核タンパク質不均衡を、多くの種に共通の寿命関連経路であるミトコンドリア折りたたみ異常タンパク質応答に結びつけていることが示された。

