Letter

気候:熱帯域平均上昇流の増加が引き起こす成層圏の準2年周期振動の弱化

Nature 497, 7450 doi: 10.1038/nature12140

熱帯域成層圏では、東風と西風が約28か月の周期で交代する赤道準2年周期振動(QBO)と呼ばれる現象が存在する。成層圏最下層では、QBOの鉛直構造と熱帯域平均上昇流は関連し合っており、成層圏の大気組成を決定する上で重要な要因となる。今日に至るまで、地球温暖化に伴うQBO変化に関する明確な証拠はなく、成層圏の循環がどの程度変化するのかについても疑問が示されてきた。本論文では、1953〜2012年の赤道近傍のラジオゾンデ観測データを解析した結果、熱帯域下部成層圏でのQBOに伴う東西風の振幅が長期にわたって減少する傾向が見いだされた。この減少傾向は70 hPa気圧高度(地上高度約19 km)において特に顕著であり、60年間でQBOの振幅が33%に減少していた。QBO振幅の減少傾向は、第5期結合モデル相互比較計画(CMIP5)の中で、QBOを現実的に再現した4つの気候モデルによる地球温暖化シミュレーションにおいても明瞭である。QBO振幅の弱化傾向は、熱帯域下部成層圏の平均上昇流の増加傾向に起因するとする説明が最も適切である。ほとんど全ての気候モデルが、地球温暖化に伴って熱帯域の平均上昇流が強まることを予測しているが、観測データを用いて上昇流の変化を見積もった過去の研究からは、明確な結論は出ていなかった。今回の報告で発見した下部成層圏におけるQBO振幅の弱化傾向の存在は、熱帯域対流圏界面付近の平均上昇流が長期間にわたって強まっていることを強く裏付けている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度