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細胞生物学:EGFRは低酸素に応答して起こるマイクロRNA成熟をAGO2のリン酸化により調整する

Nature 497, 7449 doi: 10.1038/nature12080

マイクロRNA(miRNA)は2段階のプロセシングにより生成する低分子RNAで、標的遺伝子の発現を転写後段階で負に調節する。miRNAの脱調節は、がんなどの多様な病的状態に結び付けられてきた。最近の研究によって、miRNAは、低酸素状態のようなさまざまなストレスに対する細胞応答の調節にも関係すると考えられるようになっている。低酸素は、血管新生が少ない固形腫瘍中心部でよく見られる状態である。しかし、miRNA生合成装置の上流で働く調節因子は明らかになっておらず、腫瘍細胞がmiRNAの発現や機能をストレスに応じて効率よく調整し、特異的なものとする仕組みはよくわかっていない。本論文では、ヒトがんで特性がよく調べられているがん遺伝子の産物である上皮増殖因子受容体(EGFR)が、低酸素への応答の際に、特定の腫瘍抑制因子様miRNAの成熟を抑制することを示す。この抑制は、argonaute 2(AGO2)のTyr 393リン酸化により行われる。EGFRとAGO2の結合は低酸素により促進され、AGO2-Y393のリン酸化レベルが上昇する。これによって、AGO2へのDicer結合が低下し、前駆体miRNAから成熟miRNAへのmiRNAプロセシングが阻害される。また、前駆体miRNA中の長いループ構造が、リン酸化Y393-AGO2を介したmiRNA成熟の重要な調節要素であることも明らかになった。さらに、AGO2-Y393のリン酸化は低酸素条件下でEGFRが促進する細胞の生存と浸潤性に関わっており、乳がん患者の全生存率の低さとも相関している。今回の研究は、miRNAの成熟にEGFRが果たす、これまで知られていなかった働きを明らかにしており、EGFRが新規な翻訳後修飾を介してAGO2の調節因子として働いていると考えられる仕組みを示唆している。これらの知見は、miRNAの生合成の調整が腫瘍細胞のストレス応答に重要なことを示しており、臨床に関わってくる可能性がある。

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