Letter
計測:生細胞の光磁気画像化
Nature 496, 7446 doi: 10.1038/nature12072
磁気画像化法は、生体系や物理系を調べる強力な手段である。しかし、既存の手法は光学顕微鏡法よりも空間分解能が悪いため、一般的に細胞より小さい構造の画像化には適用できないか(例えば磁気共鳴画像化法)、あるいはサブマイクロメートルの分解能は得られるが生きた生体試料への適用は不可能な動作条件を必要とする(例えば、走査型超伝導量子干渉素子顕微鏡法、電子線ホログラフィー、磁気共鳴力顕微鏡法)。今回我々は、ダイヤモンドチップの表面に窒素空孔色中心を埋め込んだナノメートルスケールの層からなり光学的に検出される磁場画像化アレイを用いて、実験室周囲条件下で細胞以下の空間分解能(400 nm)で生細胞(走磁性細菌)の磁気画像化を実証した。ダイヤモンド表面に走磁性細菌を置き、窒素空孔量子スピン状態を光学的にプローブして、走磁性細菌内で作られる磁性ナノ粒子の鎖(マグネトソーム)によって生じた磁場のベクトル成分の画像を速やかに再構成した。また、同じ装置で得た光学像とこれらの磁場マップを空間的に相関付けている。広視野顕微鏡法によって、サブマイクロメートルの分解能と100 mm以上の視野で、細胞集団内の複数細胞の光画像化と磁気画像化を並行して行うことが可能になる。走磁性細菌の走査電子顕微鏡像から、相関付けられた光学画像と磁気画像を用いて個々の細菌内のマグネトソームの位置特定と特性評価ができることが確認された。今回の結果から、周囲条件下において高い空間分解能で生細胞中の生体磁性構造体を画像化する新しい機能が得られた。これによって細胞内や細胞ネットワーク内のさまざまな磁気信号のマッピングが可能になるだろう。

