Letter
量子物理学:非アーベル型非断熱幾何学的ゲートの実験による実現
Nature 496, 7446 doi: 10.1038/nature12010
量子力学の幾何学的側面は、幾何学的位相の概念に最もよく現れる。幾何学的位相は、ヒルベルト空間、すなわち量子系の量子状態空間において、この系がある経路に沿って発展するときにはいつでも獲得される。幾何学的位相は、この経路の形状だけで決まり、その最も簡単な形では実数である。しかし、系が縮退したエネルギー準位を持つと、行列値である幾何学的状態変換が得られる。これらは非アーベル型ホロノミーと呼ばれ、その効果は2つの連続する経路の順序に依存する。これらの変換は、例えば低温原子気体における合成ゲージ場の生成や、非アーベル型エニオン統計の記述に重要となる。さらに、雑音に強い量子計算を行うことを目的に非アーベル型ホロノミーゲートを利用しようという考え方もある。アーベル型幾何学操作とは対照的に、非アーベル型操作は多数スピンを用いた核四重極共鳴実験でしか観測されておらず、幾何学的過程とその非可換性の完全な特性評価は行われていない。本論文では、よく制御された2トーンのマイクロ波駆動を利用して、単一の超伝導性人工三準位原子において非アーベル型非断熱ホロノミー量子操作を実現する。量子過程トモグラフィーを使って、得られた非可換ゲートの忠実度を決定し、その値は95%を超えた。また、ヒルベルト空間中の2つの異なる経路から生じた2つの異なる量子ゲートを異なる順序で用いると、非等価な変換が生じることがわかった。このことから、実行したホロノミー量子操作の非アーベル型特性を示す証拠が得られた。自明でない二量子ビットのゲートと組み合せることで、我々の方法から普遍的なホロノミー量子計算への道が示唆される。

