Letter
気候:自然強制か人為起源の強制かによって異なる全球の降水変化
Nature 493, 7434 doi: 10.1038/nature11784
地球温暖化の結果、降水量は高緯度域と熱帯域で増加し、すでに乾燥している亜熱帯域で減少する可能性がある。しかし、このような変化の絶対的な大きさと地域ごとの詳細については、いまだに活発に議論されている。エルニーニョ研究からよく知られているように、熱帯太平洋を横切る海面水温勾配は全球の降水量に強い影響を与えうる。古気候代理指標の証拠は、暖かい西太平洋とより冷たい東太平洋の温度差が、太陽放射が増加して地球が温暖になった時期に増加したことを示している。対照的に、将来の温室効果による温暖化のほとんどのモデル予測では、この勾配が弱まっている。こうした2つの知見を両立させる方法は、明確になっていない。本論文では、気候モデルシミュレーションにより、熱帯太平洋の海面水温勾配は、温暖化が太陽放射の増加に起因する場合に増加し、温室効果ガスの強制の増加に起因する場合に減少することを示す。全球の海面水温上昇量が同じである場合、後者のパターンでは特に熱帯の陸域で降水量がより少なくなり、モデルにおいて20世紀後半が中世温暖期(紀元1000〜1250年頃)よりも温暖で降水量が少なくなる理由が説明される。この違いは、全球の対流圏のエネルギー収支と一致し、降水により放出される潜熱と放射冷却が釣り合う必要がある。対流圏の冷却は、地球表面に集中する太陽放射加熱が増大する場合よりも、放射吸収物質が対流圏に加わり温室効果ガスが増加する場合に減少する。したがって、温室効果ガスの増加に起因する温暖化は、太陽放射の変化に起因する温暖化とは異なる気候の特徴を生み出す。

