Letter
化学:有機触媒によるプロスタグランジンPGF2αの7ステップ立体制御合成
Nature 489, 7415 doi: 10.1038/nature11411
プロスラグランジンは、血液循環、消化、生殖など、さまざまな生理活性を調節するホルモン様化学伝達物質である。生物活性と複雑な分子構造を持つため、プロスタグランジンは40年以上にわたって多くの有機合成化学者の研究対象となってきた。プロスタグランジン類似体は医薬品として広く用いられており、中には、緑内障治療に使用されるラタノプロストのように、10億ドル規模の医薬品になったものもある。過去に報告されたプロスタグランジン類似体の合成は、非常に冗長であるうえ、どの化学ステップも時間とエネルギーを要し、廃棄物を排出し、原料の損失を伴う。今回我々は、新しい結合切断法を用いて、最も複雑なプロスタグランジンPGF2αを、相対・絶対立体化学を高度に制御して、より少ないステップ数で簡便に合成したことを報告する。基本的に重要なステップは、プロリン有機触媒反応を用いたスクシンアルデヒドのアルドールカスケード反応であり、単一ステップ、98%の鏡像体過剰率で二環式エナールを生成している。この二環式エナール中間体は、残りの基と結合するために適切な官能基を完全に備えている。この二環式エナールが得られるようになったことによって、既存のプロスタグランジン系薬品の価格が手頃になるばかりでなく、治療効果が見込まれるプロスタグランジン類似体など、普遍的な五員環モチーフ周辺の関連化学構造の迅速な研究が促されるであろう。

