Letter

生態:熱帯林保護区の生物多様性崩壊を防止する

Nature 489, 7415 doi: 10.1038/nature11318

熱帯林の急速な破壊は、あらゆる現代的現象の中で、世界の生物多様性を最も危うくするものと考えられる。森林破壊が急激に進行する中にあって、保護区は、絶滅危惧種および自然生態系プロセスを守る最後の砦となりつつある。しかし、熱帯の保護区の多くは、それ自体が人類による侵食やその他の環境ストレスに対して脆弱である。圧力が高まる中、現在の保護区が生物多様性を維持することができるかどうかを知るのは重要なことである。この問題を解決するうえで重大な制約となっているのは、十分に大きく代表的な保護区の標本を用いた、幅広い生物群に関する生物多様性を表すデータが存在しないことである。本論文では、世界の主要な熱帯地域全体から選んだ60か所の保護区に関して、種の機能群31個および環境変化の潜在的な促進因子21個を対象に、過去20〜30年間の変化に関する、ほかに例のない包括的なデータセットを提示する。分析の結果、保護区の「健全性」には大きなばらつきが見いだされ、全保護区の半数ほどが効果的または及第点であったのに対し、残りの保護区では生物多様性の劣化が進んでおり、分類学的および機能的に驚くほど広い範囲で劣化が見られる場合が多いことがわかった。生息地の破壊、狩猟、および森林生産物の搾取が、保護区の健全性劣化の最も強力な予測因子であった。重要なこととして、保護区内の変化は保護区周辺の変化を強く反映しており、保護区の生態的運命を決定するうえで、保護区のすぐ外側の環境変化が、保護区内の環境変化と同じくらい重要であると考えられた。今回の知見から、熱帯の保護区は周辺環境と生態学的に密接に関係していることが多く、そうした環境の大規模な喪失および破壊を食い止めることができなければ、深刻な生物多様性の劣化が現実のものとなる公算が大幅に高まると考えられる。

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