細胞:コルネリア・デ・ランゲ症候群に見られるHDAC8変異は、コヒーシンのアセチル化サイクルに影響する
Nature 489, 7415 doi: 10.1038/nature11316
コルネリア・デ・ランゲ症候群(CdLS)は優性遺伝性の先天性形成異常疾患で、古典的CdLSの患者の60%近くは、コヒーシンを染色体に結合させるタンパク質NIPBLの変異が原因であり、それ以外では、発端者の一部で原因がコヒーシンの構成タンパク質であるSMC1A(〜5%)やSMC3(< 1%)の変異であることが知られている。ヒトでは、多サブユニット複合体であるコヒーシンを構成しているのは、SMC1、SMC3、RAD21、STAGタンパク質で、これらが環状構造を作り、その内側に姉妹染色分体を抱きかかえることによって姉妹染色分体が接着すると考えられている。コヒーシンは、遺伝子調節にも重要な役割を果たしている。SMC3は細胞周期のS期にアセチル化され、クロマチンに結合したコヒーシンの結束力が確立される。また酵母では、クラスIのヒストンデアセチラーゼHos1が細胞分裂後期にSMC3を脱アセチル化する。今回我々は、HDAC8が脊椎動物のSMC3デアセチラーゼであることを同定するとともに、6人のCdLS発端者でHDAC8の機能喪失変異が見られることを明らかにした。HDAC8活性の喪失により、分裂前期、後期の両方でSMC3アセチル化の亢進が見られ、またクロマチンから離れた「使用済み」のコヒーシン複合体の分解がうまく進まないことが観察された。さらに、アセチル化されたままのSMC3がクロマチンに結合していた。クロマチン免疫沈降DNAの塩基配列解析により、HDAC8の活性喪失はコヒーシン結合部位の減少をもたらすこと、その結果NIPBLあるいはHDAC8に変異を持つCdLS細胞に共通する転写パターン変化が見られるようになることがわかった。

