Letter

気候:北極シベリアにおける沿岸域と海中の永久凍土層の浸食による古い炭素の活性化

Nature 489, 7414 doi: 10.1038/nature11392

将来の温室効果ガス濃度の変化動向は、気候と陸域生物圏の相互作用に依存する。北極圏の永久凍土層の融解が起これば、今世紀において相当な量の炭素が大気中に放出される可能性がある。東シベリア北極棚(ESAS)の長さ約7,000 kmの海岸線に沿って地表に露出している年代の古い氷床複合体堆積物と、関連する浅い海中の永久凍土層は、永久凍土層の炭素の2つの大きな貯蔵庫となっているが、融解や分解に対する脆弱性はほとんどわかっていない。最近の北極圏の温暖化は、これまでの予測を数度上回っており、ESASの沿岸地域で特に顕著である。したがって、調べることが比較的難しいこの地域における永久凍土層の炭素と気候の関係の理解を深めることは急務である。本論文では、氷床複合体堆積物からの炭素の大量放出は、世界最大の大陸棚であるESASの堆積性炭素の収支を支配しており(57±2%)、海洋と陸域表土の炭素よりはるかに多いことを示す。ESASの表面堆積物に蓄積された有機炭素の二核種炭素同位体組成の逆モデリングを行い、モンテカルロシミュレーションを用いて不確かさを評価すると、44±10テラグラムの古い炭素が、氷床複合体の永久凍土層から毎年活性化されており、過去の研究で示されていたよりも一桁多いことが示唆される。我々は、この古い炭素の約3分の2(66±16%)が二酸化炭素として大気へ放出され、残りは大陸棚の堆積物に再貯蔵されていると見積もっている。北極圏で気候の温暖化が進むと、これらの炭素に富んだ更新世の海岸線と海底の堆積物の熱的な崩壊と浸食が加速する可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度