Letter

気候:完新世の気候と氷棚の歴史に関連する最近の南極半島の温暖化

Nature 489, 7414 doi: 10.1038/nature11391

南極半島における過去50年間の急速な温暖化は、多数の氷棚の崩壊と氷河の質量損失の加速を伴っている。対照的に、西南極では温暖化はあまり大きくなく、東南極のほとんどでは有意な変化が観察されていないので、それらの地域から得られる氷床コアの古気候記録は、南極半島の気候の歴史を表していない可能性がある。本論文では、南極半島の気温は、完新世初期の温暖期の後、約9200〜2500年前までの間安定し、現代の水準と同程度であったことを示す。我々の気温の見積もりは、南極半島の北東先端部の沖にあるジェームズ・ロス島で得られた氷床コアの重水素変動の記録に基づいている。完新世後期におけるジェームズ・ロス島付近の棚氷の発達が、2500〜600年前の著しい寒冷化と同時に起こったことがわかった。この寒冷化は、1000年スケールの気候変動の一部であり、南極半島の東側と西側とでの正反対の偏差を伴っていた。南極半島の北東部の温暖化は600年前頃に始まったが、20世紀の高い温暖化速度は、過去2000年にわたる気候の自然変動から見て、異例であるが、前例がない訳ではない。ここで示されている過去の気温と氷棚の安定性の関係は、数世紀にわたる温暖化によって南極半島北東部の氷棚が崩壊しやすくなっていることを示唆している。温暖化の持続によって、現在の気温は完新世の大部分の期間の安定な気温条件を超えており、氷棚が不安定化して、南極半島に沿ってさらに南方まで浸食される可能性が高い。

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