神経:成体の休止期神経幹細胞の運命決定を制御するニューロン回路機構
Nature 489, 7414 doi: 10.1038/nature11306
成体の神経新生は、特殊化したニッチ内の神経幹細胞から起こる。ニューロンの活動や経験は、この局所的ニッチに作用すると考えられており、神経前駆細胞の増殖から、新生ニューロンの成熟、シナプスの統合と生存まで、成体の神経新生の多数の段階を制御する。局所的なニューロン回路が、成体の神経幹細胞に直接的な影響を与えるかどうかはわかっていない。本研究では、成体マウスの海馬において、ネスチンを発現する放射状グリア様休止期神経幹細胞(RGL)が、γ2サブユニットを含むGABAA受容体を介して、神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)に対して持続的に応答することを示す。個々のRGLのクローン解析から、γ2を条件的に欠失させると、RGLは休止期から速やかに脱出し、対称的な自己複製が促進されることがわかった。RGLは、パルブアルブミン陽性(PV+)介在ニューロンの、67-kDaグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD67)を発現する終末に近接しており、これらのニューロンから放出されるGABAに対して持続的に応答する。機能的には、歯状回のPV+介在ニューロンの活動を光遺伝学的に制御することで、RGLの休止と活性化の選択を指示できるが、ソマトスタチンや血管作働性腸管ポリペプチド(VIP)を発現する介在ニューロンの活動を制御しても効果はない。さらに、RGLの活性化と対称分裂を誘導する経験である社会的隔離後に、PV+介在ニューロンを活性化すると、RGLは休止期へと戻る。今回の結果から、ニッチ細胞–シグナル–受容体の3要素と局所的な回路機構が、ニューロン活動や経験に応答して、休止期にある成体神経幹細胞の活性化と自己複製モードを制御することが明らかになる。

