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海洋:直接測定に基づく海洋の窒素固定速度の倍増

Nature 488, 7411 doi: 10.1038/nature11338

生物学的窒素固定は、海洋への窒素の最大の供給源であり、したがって海洋の窒素貯蔵量や一次生産力に大きな影響を及ぼす。海洋堆積物から得られる窒素同位体データは、海洋窒素の貯蔵量は過去3000年間均衡がとれていることを示唆している。しかし、窒素の損失は窒素固定による増加を約200 Tg N yr−1上回っており、直接測定に基づいて均衡のとれた海洋窒素収支を示すことは、これまで困難とされてきた。本論文では、大西洋から得られたデータを提示し、最も広く用いられている海洋の窒素固定速度の測定法は、新しく開発された方法に比べて窒素を固定する微生物(ジアゾ栄養生物)の寄与を過小評価していることを示す。粒子状有機物への15N2の取り込み速度とともに、特定のクレードのジアゾ栄養生物の量を定量する分子生物学的手法を用いると、確立された方法によって測定される窒素固定速度と新しい方法によって測定される窒素固定速度との差は、ジアゾ栄養生物群集の組成に関係している可能性があることが示唆される。Trichodesmiumが優占する水域においては、確立された方法は窒素固定速度を平均で62%過小評価していることを、我々のデータは示している。さらに我々は、単細胞で共生するシアノバクテリアとガンマプロテオバクテリアが優占するジアゾ栄養生物群集では、新しく開発された方法は、確立された方法より6倍以上高い窒素固定速度を与えることを見いだした。大西洋全体にわたって測定された平均面積当たりの窒素固定速度に基づいて、海盆全体の窒素固定速度を計算すると、確立された方法では14±1 Tg N yr−1、新しい方法では24±1 Tg N yr−1となる。この知見をほかの大洋に外挿できれば、直接測定から得られる全球海洋の窒素固定速度は、103±8 Tg N yr−1から177±8 Tg N yr−1に増加する可能性があり、Trichodesmium以外の窒素固定微生物の寄与がこれまでに考えられていたよりもはるかに重要であることを、今回の結果は示唆している。

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