脳:特定の介在ニューロン群の活性化がV1の特徴選択性と視知覚を強化する
Nature 488, 7411 doi: 10.1038/nature11312
抑制性介在ニューロンは、さまざまな脳機能の基盤となる神経回路の必須の構成要素である。新皮質では、形態や分子マーカー、生物物理学的特性、結合パターンなどの観点から識別される非常に多様なGABA(γ-アミノ酪酸)介在ニューロン群が同定されている。しかし、介在ニューロンの各サブタイプの活動が知覚情報処理にどのように関与しているかは、不明なままである。本論文では、マウス一次視覚皮質(V1)で、パルブアルブミン陽性(PV+)介在ニューロンを光遺伝学的に興奮させると、ニューロンの刺激特徴への選択性が高まり、知覚識別能が上がることを示す。シリコン電極による多チャネル記録と、チャネルロドプシン-2(ChR2)利用の光活性化法を用い、PV+介在ニューロンの発火を増加させたところ、方位選択性が顕著に高まり、周囲のニューロンの方向選択性も強まった。これらの効果は、アーキロドプシン-3(Arch)を利用して、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIα(CAMKIIα)陽性の興奮性ニューロンを光で活動抑制しても、V1の刺激選択性に有意な変化が見られないことから、興奮性ニューロンの発火低下ではなく、抑制性ニューロンの活性化によって生じることがわかる。また、選択性強化にはPV+ニューロンの活動が特に必要なことは、ソマトスタチン作動性やVIP(vasointestinal peptide)作動性の介在ニューロンの活性化では有意な効果がないことからわかる。特に、覚醒マウスでPV+ニューロンを活性化すると、V1での方位選択性の上昇を反映した方位識別能の有意な向上が起こった。総じて、これらの結果は、視覚の符号化と知覚が、皮質抑制性介在ニューロンの特定サブタイプの発火増加によって強化されうることを初めて実証するものである。

