生化学:クイエシンスルフヒドリルオキシダーゼの動的なジスルフィドリレー
Nature 488, 7411 doi: 10.1038/nature11267
タンパク質の安定性、集合、局在化と制御は、システイン側鎖間のジスルフィド架橋の形成に依存することが多い。スルフヒドリルオキシダーゼとして知られる酵素は、de novoなジスルフィド形成を触媒し、分子内および分子間でのジチオール/ジスルフィドリレーを開始して、基質タンパク質へジスルフィドを送達する。クイエシンスルフヒドリルオキシダーゼ(QSOX)は、複数ドメインを持つまれなジスルフィド触媒で、主にゴルジ装置や分泌液に局在しており、腫瘍で過剰に産生されるために関心を集めている。QSOXは、その生理的重要性に加えて、機構的に注目される酵素でもあり、ほかのジスルフィド形成経路では通常一連のタンパク質によって行われる機能を単独で達成することができる。QSOXの複数の酸化還元活性部位間でジスルフィドがリレーされる仕組みや、これらの部位を連結させて単一のポリペプチド上に置くことに機能的な利点があるのかどうかといった問題は、まだ未解決である。今回我々は、寄生性原虫トリパノソーマ由来の、無傷のQSOX酵素の結晶構造を初めて明らかにする。この構造では、ジスルフィドリレーにかかわる一連の部位が、40 Å以上離れていることがわかったことは注目すべきである。この距離は、ジスルフィドの直接移動には遠すぎる。この謎を解くために、我々はジスルフィドの受け渡しを行っている中間体を捕捉・結晶化した。これによって、当初の構造に対してドメインが165°回転して、2つの活性化部位がジスルフィド結合の距離内に持ってこられることがわかった。今回やはり報告された哺乳類のQSOX酵素の構造との比較から、後生動物のオルソログでのジスルフィド移動を促進する生化学的特徴がさらに明らかになった。さらに、リレーにかかわる部位を連結することのQSOX活性への寄与を定量した。これは、マルチドメイン酵素の解明と新規な触媒リレーの設計に広く役立つと考えられる。

