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細胞:細菌の毒性タンパク質は酵母および免疫細胞でキナーゼ経路を改変するための手段となる
Nature 488, 7411 doi: 10.1038/nature11259
病原細菌は、感染過程で宿主のキナーゼシグナル伝達経路と相互作用することで宿主免疫応答を回避する機構を担う、特別なエフェクタータンパク質群を進化させた。このようなエフェクターは病原細菌の毒性の一因となっているが、我々は、これらが合成生物学で細胞の挙動を操作するための重要な試薬となる可能性があると考えた。本研究では、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)のOspFタンパク質と、ペスト菌(Yersinia pestis)のYopHタンパク質という2種類のエフェクタータンパク質を使って、酵母および哺乳類免疫細胞の両方で、キナーゼが仲介する応答を系統的に接続し直した。細菌のエフェクタータンパク質は、経路特異的複合体を作用標的とさせることで、酵母で特定のマイトジェン活性化プロテインキナーゼ経路を阻害するように誘導できる。さらに、エフェクターの独自の性質によって、経路に新しい挙動が生じることを示す。すなわち、マイトジェン活性化プロテインキナーゼを不可逆的に不活性化するOspFを使って合成フィードバック回路が構築され、この回路には新規な頻度依存性入力フィルター機能が見られた。また、T細胞ではこのようなエフェクターが、T細胞応答の振幅を厳密に調整するフィードバックモジュレーター、あるいは一時的にT細胞活性化を停止できる誘導性の一時停止スイッチとして使えることを示す。今回の結果は、病原細菌が、治療や生物工学への応用に向けて細胞を操作するための多様な手段となりうることを実証している。

