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生物物理:「スリング」によって高ずり応力下での好中球ローリングが可能になる

Nature 488, 7411 doi: 10.1038/nature11248

ほとんどの白血球は、低ずり応力(1 dyn cm−2)下で細静脈壁をローリングするが、好中球は、その10倍もずり応力の高いin vivoの微小血管内でもローリングできる能力を持つ。このずり応力抵抗性ローリングにかかわる仕組みには、細胞が平たくなること、および、細胞後部でテザリングしている細胞膜が長く引っ張られることが関与しているとわかっている。今回我々は、この長くなったテザーがこれまで想定されていたように縮むのではなく、そのまま維持されて、ローリングする細胞の前方に「スリング(投石器様の構造)」として出現することを明らかにした。in vivoにおいては急性炎症モデル、またin vitroにおいてはP-セレクチン上で調べたところ、ローリングする細胞にスリングが存在し、LFA-1はスリング全体にわたって発現しているが、P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1(PSGL-1)は粘着してパッチ状に散在することが判明した。好中球が前方にローリングするにつれてスリングが細胞に巻き付き、流体力がかかってPSCL-1パッチが損なわれていくことによって、スリングはP-セレクチンから順々に段階的に剥がれていく。この「段階的なスリングの剥がれ」は、これまでに報告されている「テザーの引っ張り」とは異なっている。炎症の際に高いずり応力下で好中球がローリングするときには、スリングによって細胞自律的に接着基質が好中球前方に効果的に配置されていくのである。

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