物理:100 kmの自由空間チャネルにわたる量子テレポーテーションとエンタングルメント配送
Nature 488, 7410 doi: 10.1038/nature11332
未知の量子状態を任意の距離にわたって伝送することは、大規模な量子通信や分散型量子ネットワークにとって不可欠である。これは長距離量子テレポーテーションとエンタングルメント配送の助けを借りて実現できる。後者は量子力学の法則の基本的な検証にも重要である。中程度の距離にわたる量子テレポーテーションとエンタングルメント配送は光ファイバーリンクを用いて実現されているが、ファイバーでは光子損失とデコヒーレンスが非常に大きいため、より長い距離では量子リピーターを使わざるを得ない。しかし、量子リピーターを実際に実現するための実験はまだ困難である。量子鍵配送に初めて使われた自由空間チャネルは、光子損失とデコヒーレンスが大気中ではほとんど無視できるため、より有望な方法となる。さらに、衛星を使えば、きわめて長い距離の量子通信や量子論の基礎的な検証が地球規模で行える可能性がある。これまでの実験では、エンタングル光子対の自由空間配送が600 mと13 kmの距離にわたって実現されており、またトリガーされた単一光子が144 kmの1リンク自由空間チャネルにわたって伝送された。つい最近、修正されたスキームに従って、16 kmにわたる自由空間量子テレポーテーションが単一のエンタングル光子対を使って実証された。本論文では、多光子エンタングルメントによる、97 kmの1リンク自由空間チャネルにわたる独立したキュービットの量子テレポーテーションを報告する。6つの異なる状態に対して、平均忠実度として80.4±0.9%が得られた。さらに、エンタングル光子が101.8 km離れた2リンクチャネルにわたるエンタングルメント配送も実証した。クラウザー・ホーン・シモニー・ホルトの不等式の破れが、局所性のループホールなしに観測された。基礎的な興味に加え、我々の結果は地球規模の量子ネットワークに向けた重要な一歩を示している。さらに、我々の実験で開発した高周波数かつ高精度の捕捉・指向・追尾の技術は、将来の衛星を使った量子通信や量子論の大規模な基礎的検証に直接利用できる。

