進化:ケニア北部のクービ・フォラで新たに発見された化石は、初期ヒト属の分類学的多様性を裏付ける
Nature 488, 7410 doi: 10.1038/nature11322
1972年の発見以来、頭蓋骨の化石標本KNM-ER 1470は、更新世初期のアフリカ東部に存在した初期ヒト属(Homo)の種数をめぐる議論の中心となってきた。KNM-ER 1470は、初期ヒト属のものとされるほかの標本と比較して大きく、上顎骨の頬骨根(zygomatic root)が前方に位置し、顔面が平らで鼻下の顎が前方に突き出ていない点が際立っている。こうした特異な形態および不完全な保存状態のため、KNM-ER 1470は、性的、地理的、および時間的要因のために可変性が大きい初期ヒト属の単一種に組み入れられるのか、それとも、頭蓋の大きさ、および顔面または咀嚼器官の適応の差異を特徴とする種の多様性の証拠となるのかどうかに関して、さまざまな見解を生んでいる。本論文では、新たに発見された195万〜178万年前の化石3点について報告する。これらによって、KNM-ER 1470の解剖学的構造および分類学的位置付けが明確になる。保存状態が良好な若年期後期ヒト族の顔面標本であるKNM-ER 62000は、KNM-ER 1470ときわめて類似しているが、それより著しく小さい。KNM-ER 62000には、大きさが中程度で近遠心方向に長い臼歯など、これまで知られていなかった形態が保存されている。ほぼ完全な下顎骨であるKNM-ER 60000、および下顎骨断片であるKNM-ER 62003は、前後方向に短く前部が平板な歯列弓を有していて切歯が小さく、こうした特徴はKNM-ER 1470およびKNM-ER 62000の歯列弓の形態と合致している。今回の新しい化石によって、更新世初期のアフリカ東部には、ホモ・エレクトゥス(Homo erectus)のほかに2つの初期ヒト属種が同時期に存在していたことが裏付けられる。

