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生態:大気中のCO2によって植生の突然の変化が局所的に引き起こされるが、地球規模では起こらない
Nature 488, 7410 doi: 10.1038/nature11238
人類が原因で起こった気候変動が、地球という系(地球システム)を質的に異なった状態へと変化させてしまう可能性がある。さまざまな種類の不確定要因があるため、この変化のリスクを評価するには限界があるが、地球システム科学の研究者たちが特に懸念しているのは、小さな外乱によって質的に異なった状態への急激な転換が起こる可能性のある地球システムの大規模要素、すなわち「ティッピングエレメント」についてである。気候システムには複数のティッピングエレメントが存在することを示す証拠が増えているが、大規模な植生システムでも別の状態への急激な転換が起こりうるかどうかは、ほとんどわかっていない。今回我々は、熱帯草原、熱帯サバンナ、熱帯林という、地球システムに大きな影響を与えるに十分な広さを持つ地域の生態系が、別の状態へと変化する可能性が高いことを明らかにした。特に、大気中のCO2濃度の上昇が、高いバイオマスや木本植物の優占を特徴とする植生状態への移行を推し進めることが明らかになった。このような重大な移行は、地域間で気温上昇速度に違いがあることや、火災の規模、程度や降雨の確率的な変動に左右されることから、起こるタイミングにばらつきが生じる。さらに、双安定な植生を持つ地域(2つの植生状態がどちらも存在可能な地域)の位置が、気候変動に応じてずれることもわかった。したがって、陸上生態系において一方向への大規模な変化が起こる可能性は高いものの、それらの変化のタイミングが同調しないことが、地球システムにこれらの変化が与える打撃を弱める働きをする(ただしゼロにすることはできない)可能性がある。

