細胞:部位特異的DICERとDROSHAのRNA産物がDNA損傷応答を制御する
Nature 488, 7410 doi: 10.1038/nature11179
非コードRNA(ncRNA)の関与が認められた細胞事象の数は増えつつある。ncRNAの一部はRNアーゼであるDICERおよびDROSHAによりプロセシングされ、RNA干渉(RNAi)に関係する小分子二本鎖RNAを生じる。DNA損傷応答(DDR)は、DNA損傷部位から始まり、細胞増殖を停止するシグナル伝達経路である。今のところ、DICERおよびDROSHAのRNA産物がDDR活性化を制御するとの報告はない。今回我々は、ヒト、マウスおよびゼブラフィッシュでのDDRフォーカス形成およびチェックポイント解析を行い、外因性DNA損傷およびがん遺伝子が誘発する遺伝毒性ストレスの際のDDR活性化にはDICERとDROSHAが必須だが、RNAi経路下流の構成因子は必要でないことを明らかにした。DDRフォーカス形成はRNアーゼA処理感受性であり、RNアーゼA処理した細胞でのDDRフォーカス回復にはDICERおよびDROSHA依存的に生じたRNA産物が必要である。RNAの大規模塩基配列解読および単一の誘導性DNA二本鎖切断箇所におけるDDR活性化の研究から、DDRフォーカス形成には部位特異的DICERおよびDROSHA依存性小分子RNA(DDRNAと命名)が必要であり、DDRNAはMRE11–RAD50–NBS1複合体(MRE11の別名はMRE11A、NBS1の別名はNBN)に依存する形で作用することがわかった。化学的に合成された、あるいはin vitroでDICERによる切断で産生されたDDRNAは、RNアーゼA処理した細胞でのDDR回復に十分であり、ほかの細胞RNAがない状態でも回復できる。我々の結果は、DNA損傷部位におけるDDR活性化の制御に、新規な種類のncRNAが予想外の直接的役割を果たすことを明らかにしている。

