Article 海洋:南大洋での鉄肥沃化によって大増殖した珪藻類による深海への炭素輸送 2012年7月19日 Nature 487, 7407 doi: 10.1038/nature11229 鉄化合物の添加による海洋の肥沃化は、珪藻類が優占する植物プランクトンの大増殖を引き起こし、これに伴って海洋表層中で二酸化炭素がかなり減少する。しかし、これらの実験では大増殖したバイオマスがどうなるのかが十分に確かめられなかったので、大気からの炭素隔離の時間スケールはよくわかっていない。本論文では、南極環流の鉛直方向にコヒーレントなメソスケールの渦流の閉じたコアで行われた、5週間にわたる実験の結果を報告する。この期間に、表層から深海底へ沈降する粒子を追跡した。珪藻類の大増殖は、施肥後の4週目に最大になった。次いで、数種の珪藻類が大量死し、細胞と鎖状群体が絡み合って粘液質の集合体が形成され、急速に沈降した。結果をまとめると、複数の証拠(それぞれが大きな不確実性を伴っているにしろ)から、大増殖によって生じたバイオマスの少なくとも半分が1,000 m以上の深さにまで沈降し、かなりの割合が海底に達したと考えられる。したがって、鉄肥沃化による珪藻類の大増殖は、海洋底層水では数百年の時間スケールで、堆積物中ではさらに長い時間スケールで、炭素を隔離する可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る