Letter 医学:SHARP1は低酸素誘導因子の分解促進により乳がんの転移を抑制する 2012年7月19日 Nature 487, 7407 doi: 10.1038/nature11207 乳がんにおける悪性細胞の振る舞いの分子的決定要因は一部しか解明されていない。本論文では、SHARP1(別名BHLHE41あるいはDEC2)が、乳がんの中で最も進行性の高い型の1つであるトリプルネガティブ(三重陰性)乳がん(TNBC)の浸潤性および転移性の表現型の重要な調節因子であることを示す。SHARP1はp63転移抑制因子によって調節され、低酸素誘導因子1α(HIF-1α;hypoxia-inducible factor 1α)およびHIF-2α(総称HIF)の抑制を介してTNBCの進行性を抑制する。SHARP1は、in vitroでのHIF依存的なTNBC細胞の移動や、in vivoでの浸潤性あるいは転移性の振る舞いを妨げる。SHARP1は、HIF標的遺伝子の発現の制限に必要かつ十分である。原発性TNBCでは、内因性SHARP1レベルはHIF標的のレベルと逆相関する。機構としては、SHARP1がHIFに結合し、プロテアソームにHIFを提示する因子として機能することで、HIFのプロテアソームによる分解を促進する。この過程はpVHL(フォン・ヒッペル-リンダウ腫瘍抑制因子)、低酸素およびユビキチン化装置とは独立している。したがって、SHARP1はHIFタンパク質の固有の不安定性を決定し、酸素レベルと並行・協調して機能する。この研究は、TNBCが浸潤性および転移傾向を獲得する機構および経路を明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る