Letter 遺伝:原型遺伝子とde novo遺伝子の誕生 2012年7月19日 Nature 487, 7407 doi: 10.1038/nature11184 新しいタンパク質コード遺伝子は、既存遺伝子の再編成、あるいはde novoのどちらかによって生じる。既存遺伝子の再編成、特に遺伝子重複後の再編成過程については、詳しく解明されている。これに対して、de novo遺伝子の誕生についてはほとんど解明されていないが、その主な原因は、「非遺伝子」塩基配列、すなわち遺伝子を含まない塩基配列が翻訳されても、特定の生物学的機能を持つタンパク質ではなく、無意味なポリペプチドが生じるだけだと考えられるからである。今回我々は、非遺伝子塩基配列で広く行われている翻訳作業によって生じた一過性の原型遺伝子を介して、機能を持った遺伝子がde novoに進化するという進化モデルを考案した。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いてこのモデルのゲノム規模での検証を行い、非遺伝子塩基配列中にある数百もの種特異的な短いオープンリーディングフレーム(ORF)が翻訳されることを見いだした。この翻訳はストレスに応じて異なった調節を受けており、また自然選択により維持されている形跡があることから考えて、適応能力を供給しているらしい。このモデルと一致して、我々は出芽酵母のORFを非遺伝子塩基配列から遺伝子への連続的進化の中に位置付けられることを確かめた。酵母ORFの中から原型遺伝子候補が約1,900個見つかり、このようなリザーバーからの新規遺伝子誕生が、散発的な遺伝子重複よりも一般的らしいことがわかった。この研究により、進化では、不必要に見える塩基配列をうまく利用して、適応するための機能変革がなされていることが明らかになる。 Full Text PDF 目次へ戻る