Letter 細胞:翻訳初期における不均一な経路と因子解離のタイミング 2012年7月19日 Nature 487, 7407 doi: 10.1038/nature11172 翻訳初期過程は、タンパク質合成のリーディングフレームを定める役割を持ち、翻訳調節にかかわる重要な過程である。翻訳初期過程では、メッセンジャーRNAの開始コドン位置において、分離されているリボソーム・30Sサブユニット、50Sサブユニットと開始トランスファーRNA(tRNA)が複数の翻訳初期因子の駆動によって会合し、細菌の場合には伸長反応直前の70Sリボソーム複合体が形成される。今回我々は、大腸菌翻訳系で一分子直接計測法を用いて、開始tRNA、開始因子2(IF2; infBにコードされる)、50Sサブユニットが翻訳初期過程でどのようなタイミングで会合するかを調べた。その結果、翻訳開始に至る経路は複数存在し、tRNAとIF2の結合順序は因子の濃度と組成によって決まることが明らかになった。IF2は、50Sサブユニットの結合を加速させ、形成された70S複合体を安定化する。伸長段階への移行はGTP加水分解直後に起こるIF2の解離によって引き起こされ、その結果、アミノアシルtRNA結合部位(A部位)にある2番目のコドン位置に次の伸長tRNAが効率よく結合できるようになる。これらの実験は、一分子計測法は複雑な多成分系の作用機構の解明に役立つ強力な手法であることを明確に示している。 Full Text PDF 目次へ戻る