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構造生物学:低温電子顕微鏡法による未成熟レトロウイルスキャプシドの8 Å分解能での構造

Nature 487, 7407 doi: 10.1038/nature11169

HIV-1などのレトロウイルスの組み立ては、その主な構造タンパク質であるGagのオリゴマー形成により進められる。Gagは、保存された折りたたみ方の3つのドメイン、MA(マトリックス)、CA(キャプシド)とNC(ヌクレオキャプシド)を含むマルチドメイン・ポリタンパク質である。感染性を持つビリオンの組み立ては2段階で進む。最初の段階では、Gagのオリゴマー形成により六量体タンパク質格子が作られ、これがタンパク質でできた不完全なほぼ球形の殻の形成につながり、この殻は感染細胞の細胞膜から出芽して、エンベロープを持った未成熟ウイルス粒子が放出される。第2段階では、ウイルスプロテアーゼによるGagの切断により粒子内部で配置換えが行われて、非感染性の未成熟ウイルス粒子が成熟した感染性を持つビリオンへと変換される。Gagが作る未成熟の殻は、組み立てのきわめて重要な中間体として機能し、抗レトロウイルス薬によってウイルス粒子の組み立てやウイルスの成熟を阻害する際の標的候補となる。しかし、未成熟のGag殻の詳細な構造情報は、これまで得られていない。このため、どのようなタンパク質コンホメーションや界面が、ドメイン間相互作用、さらにはレトロウイルス粒子の組み立てを仲介しているのか、またどのような構造変化がレトロウイルスの成熟と関連しているのかはわかっていない。今回我々は、マソン・ファイザー・サルウイルス由来の未成熟レトロウイルスGag殻の構造を、低温電子顕微鏡法とトモグラフィーを組み合わせることで解いた。8 Å分解能の構造により、未成熟レトロウイルス中のCAの準原子モデル導出が可能となり、それによってレトロウイルスの組み立てを仲介するタンパク質界面が明らかになった。さらに、未成熟レトロウイルスが成熟した感染性の構造に変換されるのにはCAドメインの顕著な回転や移動がかかわっていること、また未成熟六量体格子の組み立てと成熟六量体格子の組み立てでは、CAのアミノ末端とカルボキシ末端ドメインの役割が交換されること、未成熟および成熟ウイルスのそれぞれを安定化するCA相互作用はほとんど完全に異なることが明らかになった。

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