Letter 免疫:2型ヘルパーT細胞系列の細胞運命拘束を制御するエピジェネティックサイレンシング経路 2012年7月12日 Nature 487, 7406 doi: 10.1038/nature11173 ナイーブCD4+ T細胞は免疫応答の間に、細胞系列を指定する遺伝子の制御下でいくつかのヘルパーT (TH)細胞サブセットへと分化する。これらのサブセット(TH1、TH2、TH17および制御性T細胞)は、それぞれ異なるサイトカインを分泌し、異なる種類の感染に対する防御に関与する。このような発生プログラムの調節にはエピジェネティックな機構が関与しており、また特定のエピジェネティックマークのレベルと細胞運命を指定する遺伝子の分化の際の活性もしくはサイレンシングとの間には相関があることが認められている。しかしながら、TH細胞サブセットの分化と、系列拘束に関与するエピジェネティック経路との機能的な関連については明らかになっていない。今回我々は、TH2系列の安定性の制御におけるSUV39H1–H3K9me3–HP1αサイレンシング経路の役割を検討した。この経路にはヒストンメチラーゼSUV39H1が含まれ、この酵素はヒストンH3のリシン9のトリメチル化(H3K9me3)に関与している。この修飾により、ヘテロクロマチンタンパク質1α(HP1α)の結合部位が作り出されて、転写のサイレンシングが促進される。この経路は当初、ヘテロクロマチンの形成と維持に関係するとされていたが、ユークロマチン遺伝子の調節にも関与している可能性がある。我々は、SUV39H1–H3K9me3–HP1α経路が、TH1遺伝子座のサイレンシングの維持にかかわっていて、TH2経路の安定性を確保していると考えている。SUV39H1を欠くTH2細胞では、トリメチル化されたH3K9とアセチル化H3K9の比率に異常が生じ、サイレンシングされたTH1遺伝子群のプロモーターにおけるHP1αの結合が低下した。SUV39H1欠損TH2細胞およびHP1α欠損TH2細胞は共に正常な分化を示すが、TH1細胞への分化を誘導する条件下で再培養した場合、野生型細胞とは対照的に、TH1遺伝子群を発現した。TH2誘導性のアレルギー性喘息のマウスモデルでは、SUV39H1の化学的阻害もしくは欠損によって、T細胞応答がTH1応答へと偏り、肺の病態が減弱した。これらの結果は、SUV39H1–H3K9me3–HP1α経路とTH2細胞の安定性との間の結びつきを実証するもので、またTH2細胞によって媒介される炎症性疾患への治療介入のための標的候補を明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る