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細胞:AMPKはNADPH恒常性を調節してエネルギーストレス下での腫瘍細胞の生存を促進する

Nature 485, 7400 doi: 10.1038/nature11066

固形腫瘍の増殖にとって、代謝ストレスの克服はきわめて重要な段階である。しかし、代謝ストレス下での細胞の死と生存の基盤となる機構はよくわかっていない。代謝適応に関連する重要なシグナル伝達経路は、LKB1(liver kinase B1)–AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)経路である。細胞内ATP濃度が一定レベル以下に低下するエネルギーストレス条件では、LKB1によるAMPK活性化が促進される。以前の研究で、LKB1欠損細胞あるいはAMPK欠損細胞は発がん性の形質転換および腫瘍形成に対して抵抗性であり、これはおそらく代謝適応にAMPKが機能を果たすためであることが示された。だが、腫瘍細胞でAMPKが代謝適応を促進する機構は十分解明されていない。今回我々は、エネルギーストレスの際のAMPK活性化が、酸化還元調節によって細胞生存を延長することを示す。このような状態では、ペントースリン酸経路によるNADPH産生が障害されるが、AMPKはNADPHレベルを維持し細胞死を抑制する別ルートを誘導する。AMPKによるアセチルCoAカルボキシラーゼACC1およびACC2の阻害は、脂肪酸合成におけるNADPH消費を低下させ、脂肪酸酸化によるNADPH産生を増加することでNADPHレベルを維持する。ACC1あるいはACC2のいずれかのノックダウンは、AMPK活性化を相殺し、足場非依存性の増殖とin vivoでの固形腫瘍の形成を促進するが、ACC1あるいはACC2の活性化はこれらの過程を減弱する。したがって、AMPKはATP恒常性における機能に加えて、NADPH維持にも重要な機能を果たしており、これはグルコース制限、足場非依存性増殖、in vivoにおける固形腫瘍形成などのエネルギーストレス状態下でがん細胞が生存するのにきわめて重要である。

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