Volume 483 Number 7388

Editorials

過去最大級の地震、津波、そしてそれにより引き起こされた原発事故という三重災害の教訓を、次の大災害への備えに生かさなくてはならない。

Lessons of a triple disaster p.123

doi: 10.1038/483123a

科学は政治と無関係ではいられないし、また、いるべきでもない。

Political science p.123

doi: 10.1038/483123b

科学出版界も科学者も、研究文献の発掘にもっと力を入れるべきだ。

p.124

doi: 10.1038/483124a

News

マヨラナ粒子の確証する有力な証拠が初めて得られ、量子コンピューターへの足がかりに。

p.132

doi: 10.1038/483132a

米国のレーザー核融合施設は、“点火”成功も間近と期待されるが、先行きには問題も。

p.133

doi: 10.1038/483133a

科学出版社の非協力的な姿勢が、コンピューターを利用した研究文献活用の妨げに。

p.134

doi: 10.1038/483134a

News Features

衝撃の後に

p.137

日本のみならず地球全体にインパクトを与えた大震災から、1年が経った。

doi: 10.1038/483137a

福島の恐怖の遺産

Japan's nuclear crisis: Fukushima's legacy of fear p.138

史上最悪の原発事故により生み出された10万人を超える避難住民の多くは、現在では安全に故郷に戻ることが可能である。しかし、政府や御用学者に対する不信感が、避難生活を引き延ばしている。

doi: 10.1038/483138a

大津波の後に

Rebuilding Japan: After the deluge p.141

最大級の津波が来ても安全が守れるよう、沿岸部再建の取り組みが始まっている。

doi: 10.1038/483141a

次の大津波に備えて

Tsunami forecasting: The next wave p.144

津波予報の改善のため、そして人命を守るために、科学者は大震災から何を学べるのだろうか。

doi: 10.1038/483144a

News & Views

社会科学/進化:ヒトの繁殖における支援

p.160

閉経期と、女性が閉経期以後も生き続けることの生物学的理由はどういうものなのだろうか。最近行われた研究では、ヒトのこの異例な形質の進化には、祖先社会における助力の取り合いが重要な鍵となった可能性が示唆されている。

doi: 10.1038/483160a

物理化学:テーブルの上で踊る単一分子の動画

p.161

1つの分子から電子を1個引き剥がし、それをもう一度たたき込んでやることにより、分子中の核の動きを非常に高い時間分解能と空間分解能で追跡できることがわかった。

doi: 10.1038/483161a

細胞生物学:伸縮の感覚

p.163

ピエゾ(Piezo)タンパク質が、大型のイオンチャネルを形成し、ショウジョウバエではそれが感覚器として機能していることが明らかになった。この知見は、ピエゾタンパク質が機械力を生物学的シグナルに変換する仕組みの説明に役立つ。

doi: 10.1038/483163a

ゲノミクス:その名はGorilla gorilla gorilla

p.164

ゴリラのゲノムが解読され、ゴリラの人間との遺伝学的類似性は、従来考えられてきたよりずっと複雑なものであることが明らかになり、また現在見られる霊長類種を生み出した進化の機序に対する新しい見方が可能になった。

doi: 10.1038/483164a

地球化学:鉄分に富んだ炭素シンク

p.165

反応性の鉄種は、海洋堆積物内で有機物質を安定化する役割を果たしていたらしいという知見は、炭素と鉄の生物地球化学サイクルが緊密に連結していることをはっきり示している。

doi: 10.1038/483165a

老化:サーチュインの 問題を整理する

p.166

サーチュインタンパク質類の老化における役割についての議論は、個々のタンパク質の機能評価にまで進んできた。ある特定のサーチュインの過剰発現は雄マウスの寿命を延長できることがわかった。

doi: 10.1038/nature10950

材料科学:分散を介して生じる連続状態

p.167

中心となるブロックの長さがさまざまなポリマーを作ることで、異なるドメインががっちりとかみ合って全体に広がっている材料を作ることができる。こうした材料は非常に望ましいものだ。

doi: 10.1038/483167a

Articles

遺伝:ゴリラのゲノム塩基配列から得られたヒト科進化の手がかり

Insights into hominid evolution from the gorilla genome sequence p.169

doi: 10.1038/nature10842

生理:Piezoタンパク質は機械刺激によって活性化されるチャネルの小孔形成サブユニットである

Piezo proteins are pore-forming subunits of mechanically activated channels p.176

doi: 10.1038/nature10812

細胞:VI型分泌は、収縮性を持ち動的に変化するファージ尾部に似た構造を必要とする

Type VI secretion requires a dynamic contractile phage tail-like structure p.182

doi: 10.1038/nature10846

Letters

物理:情報と熱力学を関係付けるランダウアーの原理の実験による検証

Experimental verification of Landauer\'s principle linking information and thermodynamics p.187

doi: 10.1038/nature10872

光学:ナノ構造体からの場駆動光電子放出は振動運動を抑制する

Field-driven photoemission from nanostructures quenches the quiver motion p.190

doi: 10.1038/nature10878

計測:レーザー誘起電子線回折による超高速分子ダイナミクスの画像化

Imaging ultrafast molecular dynamics with laser-induced electron diffraction p.194

doi: 10.1038/nature10820

地球:堆積物中の有機物の貯蔵は鉄により促進される

Preservation of organic matter in sediments promoted by iron p.198

doi: 10.1038/nature10855

進化:中生代の中国に生息していた多様な移行形態の巨大ノミ類

Diverse transitional giant fleas from the Mesozoic era of China p.201

doi: 10.1038/nature10839

生態:複雑な生態系の安定性判定基準

Stability criteria for complex ecosystems p.205

doi: 10.1038/nature10832

生理:ショウジョウバエのPiezoが機械的侵害受容に果たす役割

The role of Drosophila Piezo in mechanical nociception p.209

doi: 10.1038/nature10801

医学:皺脳類である霊長類でのPSD-95阻害剤を用いた脳卒中治療

Treatment of stroke with a PSD-95 inhibitor in the gyrencephalic primate brain p.213

doi: 10.1038/nature10841

細胞:サーチュインのSIRT6は雄マウスの寿命を調節する

The sirtuin SIRT6 regulates lifespan in male mice p.218

doi: 10.1038/nature10815

神経:神経変性の起きている脳における認知機能のエピジェネティックな阻害

An epigenetic blockade of cognitive functions in the neurodegenerating brain p.222

doi: 10.1038/nature10849

免疫:皮膚感染によって、全身の皮膚に免疫を与える非移動性のメモリーCD8+ TRM細胞が生じる

Skin infection generates non-migratory memory CD8+ TRM cells providing global skin immunity p.227

doi: 10.1038/nature10851

「Journal home」に戻る

プライバシーマーク制度