Letter 医学:HIV–ヒトタンパク質複合体の全体像 2012年1月19日 Nature 481, 7381 doi: 10.1038/nature10719 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はゲノムが小さく、したがってその複製は宿主の細胞装置に依存するところが大きい。感染の過程でHIVが宿主の細胞装置をどのように作り替えるかを包括的に理解するには、ウイルスタンパク質と物理的に接触する宿主タンパク質および宿主複合体の同定が不可欠である。今回我々は、アフィニティタグによる精製と質量分析を用いて、HEK293とJurkatという2種類のヒト細胞株で、HIV-1の18種類のタンパク質およびポリタンパク質のすべてと宿主タンパク質との物理的相互作用を系統的に解析した。MiSTと命名した定量的評価システムを用いることにより、497のHIV–ヒトタンパク質間相互作用(かかわるヒトタンパク質は435種)が高い信頼度で同定できた。その約40%は、2種類の細胞株どちらにも見られた。HIVに利用される宿主タンパク質、特にどちらの細胞株でも相互作用が見られるタンパク質は、霊長類で高度に保存されていることがわかった。ウイルスタンパク質が標的とする宿主タンパク質複合体が複数見つかり、その中には真核生物の翻訳開始因子3のサブユニットeIF3dが含まれ、HIVのプロテアーゼがこれを切断することがわかった。宿主タンパク質であるeIF3dは、今回の解析で見つかったHIV複製を阻害する11種のタンパク質の1つである。これらのデータによって、HIVが感染の過程で宿主の細胞装置をどのように操作するかについて、より詳しい包括的解明が可能になるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る