Letter

細胞:Ars2はSox2の直接転写活性化を介して神経幹細胞の性質を維持する

Nature 481, 7380 doi: 10.1038/nature10712

幹細胞の特性と神経形成能を付与されている、特殊化したアストログリア細胞のサブセットである神経幹細胞(NSC)の性質と自己複製を制御する転写ネットワークについては、基本的な疑問が解明されていない。本論文では、ジンクフィンガータンパク質のArs2(arsenite-resistance protein 2、別名Srrt)が成体マウス脳室下帯(SVZ)のNSCに発現しており、また成体SVZ内のグリア繊維性酸性タンパク質を発現する細胞でArs2を選択的にノックダウンすると、NSCの数が激減し、その神経形成能も失われることを報告する。これらの表現型はhGFAP-cre::Ars2fl/flコンディショナルノックアウトマウスの出生後のSVZでも見られるが、異常の程度はより高度である。ex vivoでの解析から、Ars2はNSCの自己複製の促進に必要かつ十分で、その作用はArs2がSox2の発現を正に調節することによっていることが示される。Ars2の植物および動物のオーソログはマイクロRNA生合成に保存された役割を担っていることが知られているが、予想外なことに、Ars2がDroshaおよびDicer1をノックアウトしたNSCで自己複製促進能力を保持していることが観察された。その代わりに、クロマチン免疫沈降から、Ars2がNSCにおいてSox2の6キロベースにわたるエンハンサー内の特定の領域に結合することが明らかになった。この結合はRNAとは独立しており、また、この結合領域はArs2を介するSox2活性化に必要である。我々は、ゲルシフト解析を用いて、Ars2が結合するSox2領域を絞り込み、これが保存された特異的DNA配列であることを明らかにした。必須の下流エフェクターとしてのSox2の重要性は、Ars2ノックアウトNSCの自己複製異常と多能性異常がSox2によって回復可能であることによって示される。今回の知見は、Ars2が新しい転写因子であり、多能性因子Sox2の直接活性化を介してNSCの多能性前駆細胞状態を制御していることを明らかにしている。

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