Letter 物性:マグネタイトのフェルベー構造における電荷秩序と3サイトひずみ 2012年1月12日 Nature 481, 7380 doi: 10.1038/nature10704 マグネタイト(Fe3O4)という鉱物は、複雑な構造ひずみを起こし、125ケルビン未満の温度で電気絶縁体になる。フェルベーは1939年に、この転移がFe2+イオンとFe3+イオンの電荷秩序化によって起こると提唱したが、結晶ドメインの双晶形成によってこの構造の回折研究が阻まれるため、低温相の基底状態については議論が分かれたままである。最近の粉末回折法の改良や共鳴X線研究によって、さまざまな電荷秩序・結合二量化基底状態モデルが提唱されるようになった。今回我々は、ほぼ単一ドメインの40マイクロメートルの結晶粒の高エネルギーX線回折によって決定されたマグネタイトの完全な低温超構造について報告し、新しい秩序を明らかにした。この偏心構造は、すべて0.24オングストローム未満の振幅を持つ168の原子変位波の重ね合わせ(凍結フォノンモード)によって記述される。FeO6八面体のひずみは、フェルベーの仮説が第一近似まで正しく、電荷・Fe2+軌道秩序が最近の予測と一致していることを示している。しかし、一部のFe–Fe距離が異常に短いことは、局在電子が線状の3つ1組のFeサイト(我々は「トリマロン(trimeron)」と呼んでいる)全体に分布していることを示唆している。この電荷秩序と3サイトひずみは、かなりの偏心原子変位を生じさせ、結果として生じた大きな電気分極を磁化と結びつける。トリマロンは、フェルベー転移より高温のマグネタイトやほかの遷移金属酸化物において、重要な準粒子である可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る