Letter 細胞:システインのメチル化はNF–κB活性化におけるユビキチン鎖感知を遮断する 2012年1月12日 Nature 481, 7380 doi: 10.1038/nature10690 NF–κBは、微生物感染に対する自然免疫防御としてきわめて重要であり、NF–κBシグナル伝達の阻害は多様な細菌感染で観察されている。NF–κB経路には、さまざまな性質を持つ多数のユビキチン鎖シグナルが不可欠である。NF–κB活性化におけるユビキチン鎖シグナル伝達およびその特異性は感染中に調節されるのかどうか、またこの調節の仕組みについてはまだ調べられていない。今回我々は、NF–κBシグナル伝達にかかわるユビキチン鎖感知タンパク質であるヒトTAB2とTAB3が、病原性大腸菌(Escherichia coli)のNleEにより直接不活性化されることを示す。NleEは、細菌の保存されたIII型分泌装置エフェクターで、宿主のNF–κBシグナル伝達を遮断する働きを持つ。NleEは、TAB2とTAB3のNpl4ジンクフィンガー(NZF)ドメイン中の亜鉛が配位しているシステインを特異的に修飾する、これまで知られていなかったS–アデノシル–L–メチオニン依存性メチルトランスフェラーゼ活性を持つ。システインがメチル化されたTAB2-NZFとTAB3-NZF(NZFドメインだけを持つ短縮型タンパク質)では、亜鉛イオンだけでなくユビキチン鎖結合能も失われた。異所性に発現させたNleE、あるいはIII型分泌系により注入されたNleEは、宿主細胞中のTAB2とTAB3をメチル化し、そのユビキチン鎖結合能を低下させた。TAB3のNZFドメインをNleEメチル化非感受性のNpl4 NZFドメインに置換すると、NleE抵抗性のNF–κB活性化が起こった。ジンクフィンガーモチーフと亜鉛結合によるシステインチオールの活性化は広く見られることから、ジンクフィンガー中のシステインのメチル化は、NF–κBシグナル伝達に加えて真核生物の他の経路も調節している可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る