Letter

生化学:溶液NMRにより調べられた、アミロイドβプロトフィブリル表面の原子分解能での動態

Nature 480, 7376 doi: 10.1038/nature10577

溶液中の遊離状態にある分子と、大きな超分子構造、ポリマー、膜または固体担体の表面に結合した分子との間の交換動態は、生物学や材料科学で見られる多くの現象において重要である。今回我々は、そのような交換現象を原子分解能で調べるための、DEST(dark-state exchange saturation transfer)として知られる、新規で一般的に適用可能な溶液NMR技術を示す。測定の実例として、アミロイドβ(Aβ)単量体と、多分散でNMRでは観測できない(darkにあたる)プロトフィブリルとの間の交換反応を示す。オリゴマーから非常に大きな集合体へAβが集積して毒性の凝集状態となるこの過程は、アルツハイマー病の原因と考えられており、大きな関心が持たれている。15N-DEST実験により、プロトフィブリルに結合したAβの単一残基分解能の動態情報が15N横緩和速度(15N-R2)の形で得られ、容易に観測できる単量体二次元1H–15N相関スペクトル図で単量体とプロトフィブリル間の交換速度が示される。プロトフィブリル表面上で交換している種は、各々の残基が(他の残基を介して)表面に係留されているか、あるいは直接接触しているというまばらに存在する状態の組み合わせからなる。最初の8残基は主に可動性の係留状態にあるのに対し、大部分が疎水性の中央領域とカルボキシ(C)末端の疎水性領域の一部は、ほとんどの時間にわたってプロトフィブリル表面に直接接触している。Aβ40とAβ42のC末端領域は共に、プロトフィブリル表面に対する親和性がより低く、これはこの部分がAβフィブリル構造中に埋もれていなくて、おそらく表面に露出していることを示しており、したがってC末端領域はフィブリル形成に重要な核となっている可能性がある。しかし、Aβ42のC末端残基の15N—R2tethered値は、Aβ40のそれよりも大幅に大きく、このことはAβ42のほうが急速な凝集とフィブリル形成への傾向が高いことを説明できるかもしれない。

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