Letter

生理:ヒト電位作動性プロトンチャネルの112番目のアスパラギン酸は選択フィルターである

Nature 480, 7376 doi: 10.1038/nature10557

ポンプ、チャネルが多様な機能を行えるようにするには、そのイオン選択性がきわめて重要である。今回我々は、ヒトの電位作動性プロトンチャネルであるHV1(別名HVCN1)の異例に高い選択性の機序について調べた。この選択性は、白血球による活性酸素種産生、好塩基球によるヒスタミン分泌、精子の受精能獲得や気道pHなどを調節する能力に不可欠である。既知のイオンチャネル中で最も選択性の高いHV1は、他のイオンに対する透過性は全く認められない。選択機構としては(1)透過経路にある滴定可能なアミノ酸がプロトン選択性をもたらす、あるいは(2)狭い小孔内に「凍りついている」水分子がプロトンを運搬し他のイオンを排除する、という相反する説が考えられている。今回我々は、112番目のアスパラギン酸がHV1の選択フィルターのきわめて重要な構成要素であることを明らかにする。Asp112を中性アミノ酸で置換すると、変異チャネルはプロトン選択性を失い、陰イオン選択性となるか、あるいはイオン透過性を失った。グルタミン酸で置換した変異体だけがプロトン特異性を維持していた。近傍にあるAsp185の変異はプロトン選択性を障害しなかったことは、Asp112が独自の役割を持つことを示している。他のタンパク質ではヒスチジンがプロトンの運搬を行うが、Asp112をヒスチジンあるいはリシンに置換しても変異チャネルはやはり陰イオン透過性であった。HV1のプロトン選択性に選択フィルターにおける酸性基の存在が必要であることは明らかである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度