Letter 生化学:アクチンネットワークの機械的ひずみはFilGAPとインテグリンのフィラミンAへの結合を調節している 2011年10月13日 Nature 478, 7368 doi: 10.1038/nature10430 機械的ひずみは、化学シグナルにより仲介される細胞応答を引き起こす。力に対する応答が不完全だと、心不全や肺損傷などのヒト疾患の原因となる。アクチン細胞骨格は、その接続性によって、長い距離にわたって迅速に力を伝達することが可能であり、このような生理的、また病態的応答にかかわっていると考えられる。細胞骨格の構造は詳細に解明されているにもかかわらず、機械的刺激を化学シグナルに変換する特異的な分子スイッチはまだ明らかになっていない。本論文では、アクチン結合タンパク質フィラミンA(FLNA)が細胞骨格の機械的刺激変換伝達の中心的要素であることを明らかにする。我々は、アクチンフィラメント、FLNA、およびFLNAの2つの結合パートナーであるβインテグリン細胞質内尾部とFilGAPという最小単位からなる系を再構築した。インテグリンは、細胞外環境と細胞内環境の間をつなぐきわめて重要な機械的連関を形成し、βインテグリン尾部がフィラミンに直接的に結合することでアクチン細胞骨格につながっている。FilGAPは、RAC特異的なFLNA結合GTPアーゼ活性化タンパク質で、in vivoで細胞の延展や細胞表面突起(ブレブ)形成を調節している。光退色後の蛍光回復に代わる新たな高速測定法である、光変換後の蛍光消失を使って、細胞外から加えた大きな剪断力およびミオシンIIが駆動する力の両方が、FLNA結合パートナーのFLNAへの結合を、区別をつけて調節していることがわかった。構造から予測されるように、ひずみはβインテグリンのFLNAへの結合を増加する一方、FilGAPのFLNAからの解離を引き起こし、細胞での機械的刺激変換の直接的かつ特異的な分子基盤となる。これらの結果は、アクチン細胞骨格内の分子機械的シグナル伝達要素を突き止め、中心的な働きをするタンパク質の機械的ひずみがシグナル伝達分子の結合を調節することを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る