Letter 構造生物学:β2アドレナリン受容体が引き起こす、Gタンパク質Gsのコンホメーション変化 2011年9月29日 Nature 477, 7366 doi: 10.1038/nature10488 Gタンパク質共役受容体は最大の膜受容体ファミリーを構成し、ヘテロ三量体Gタンパク質のヌクレオチド交換によってシグナル伝達を行う。ヌクレオチド交換、もっと正確にいうとGタンパク質のαサブユニットからのGDPの解離が、Gタンパク質の活性化と下流のシグナル伝達カスケード開始への重要なステップとなる。いくつかのヘテロ三量体Gタンパク質については、不活性あるいは活性状態のコンホメーションについて生化学的、あるいは生物物理学的研究が数多く行われているが、Gタンパク質活性化の分子基盤は解明されていない。この機構を明らかにするため、我々はペプチドのアミド水素/重水素交換と質量分析を組み合わせて用い、ウシのヘテロ三量体Gタンパク質Gs(アデニル酸シクラーゼ刺激性Gタンパク質)が、アゴニストが結合したヒトβ2アドレナリン受容体(β2AR)と複合体を形成する際の構造変化を調べた。本論文では、Gsの受容体結合表面とヌクレオチド結合ポケットの構造的つながりを明らかにする。この領域では、β2AR–Gs複合体の結晶構造から予測されるよりも高いレベルで水素/重水素交換が起こる。β2AR–Gs複合体のX線結晶構造解析や電子顕微鏡データも使って、受容体がGsのαサブユニットのアミノ末端領域の構造を変化させ、その結果GDPのβ-リン酸基に結合する「Pループ」が変化するという、ヌクレオチド交換機構の原理を示す。低分子量Gタンパク質のRasファミリーと同様に、Pループの安定化とβ-リン酸の調整が、GDP(およびGTP)結合親和性の重要な決定因子となる。 Full Text PDF 目次へ戻る