Letter 発生:卵母細胞によるエピジェネティックな再プログラム化にDNAジオキシゲナーゼTet3が果たす役割 2011年9月29日 Nature 477, 7366 doi: 10.1038/nature10443 精子と卵子では、異なるエピジェネティック修飾がなされており、これらは受精後に再プログラム化によって調整される。接合子中の父親由来のゲノムは、最初の有糸分裂の前に能動的DNA脱メチル化を受ける。この父性エピゲノムの再構成の生物学的重要性と機構については、まだ明らかにされていない。本研究では、マウスの接合子内では父性ゲノムで5-メチルシトシン(5mC)の酸化が起こり、5mCが5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)に変化することを報告する。また、ジオキシゲナーゼTet3が、雄の前核特異的に豊富に存在することを示す。条件的ノックアウトマウスから得られるTet3を欠失した接合子では、父性ゲノムの5mCから5hmCへの変換が起こらず、5mCのレベルが一定のままであった。Tet3の欠失はまた、父性のOct4やNanog遺伝子の脱メチル化過程を阻害し、続いて起こる初期胚での父親由来のOct4導入遺伝子の活性化を遅らせる。生殖系列でTet3を欠失する雌のマウスでは、繁殖能力の著しい低下が見られ、このようなマウスのヘテロ接合性変異体子孫では、発育不全の割合が増加する。Tet3を欠失した卵母細胞では、注入した体細胞由来の核に対する再プログラム化能力も低下するらしい。したがって、Tet3を介したDNAのヒドロキシル化は、自然受精後の接合子における父性DNAのエピジェネティックな再プログラム化に関与しており、動物のクローニングにおける体細胞核の再プログラム化にも働いている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る