Letter 気候:大気中二酸化炭素酸素同位体比のエルニーニョによって駆動される年々変動 2011年9月29日 Nature 477, 7366 doi: 10.1038/nature10421 全球の炭素循環に関する理解を向上させるために、1977年以来、大気中二酸化炭素の同位体比(18O/16Oと13C/12C)がモニターされ続けてきた。これは、生物圏と大気圏の間の交換フラックスが、測定可能なほどの影響を同位体比に与えるためである。しかし、二酸化炭素中の酸素同位体比は炭素循環と水循環の両方から影響を受けるため、18O/16Oの変動を解釈することは困難である。過去に注目されたのは、米国国立海洋大気庁地球システム研究所の全球大気観測ネットワークにより観測された、1990年代の18O/16O比の減少である。この減少の原因は不定であり、葉と大気の間の二酸化炭素の交換に影響を与える複数の過程、すなわち、北半球の土壌呼吸の増大、C3植物からなる森林の減少と引き換えに増加するC4農作物の全球的増大、大気乱流や太陽放射などの環境条件などが原因として考えられている。本論文では、スクリップス海洋研究所の全球フラスコネットワークから得た、二酸化炭素中の18O/16Oの最近30年分のデータを示し、その年々変動が、エルニーニョ/南方振動と強く関係していることを明らかにする。エルニーニョの間の熱帯における水蒸気と降雨の分布が、降雨と植物の水分の18O/16O比を増加させ、このシグナルが、生物圏–大気の気体交換過程を介して、大気中二酸化炭素の酸素同位体比に伝達される。また、このデータにおけるエルニーニョ偏差の減衰時間が、全球の総一次生産を推定するのにどのように役立つかを示す。我々の解析は、エルニーニョ事象からの急速な回復を示している。これは、陸域生態系と海洋における二酸化炭素の循環時間が、従来の見積もりよりも短いことを示唆している。我々の解析は、1年当たり炭素120ペタグラムという全球総一次生産の現在の見積もりは低すぎる可能性があり、最良の推定値である1年当たり150〜175ペタグラムの炭素という値が、観測される急速な二酸化炭素循環とよりよく整合することを示唆している。試案ではあるが、このような修正により全球生態系炭素循環モデルを評価するための新しい基準が得られるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る