Letter

生理:心不全におけるSERCA2aのSUMO1依存性調節

Nature 477, 7366 doi: 10.1038/nature10407

カルシウム輸送ATPアーゼATP2A2(SERCA2aとしても知られる)は、興奮収縮連関中のCa2+再取り込みを担うきわめて重要なATPアーゼである。SERCA2aの発現低下および活性抑制によって生じるCa2+の再取り込み障害は、心不全に顕著に認められる特徴である。そのため、遺伝子送達によるSERCA2aの発現回復は、動物モデルだけでなく、心不全患者の心機能回復にも有効であることが立証されている。SUMO(small ubiquitin-related modifier)は、標的タンパク質のリシン残基と共役結合し、細胞の多くの過程に関与している。今回我々は、SERCA2aのリシン480および585がSUMO化されることを明らかにし、このSUMO化がマウスおよびヒト細胞におけるSERCA2a ATPアーゼの活性および安定性の維持に不可欠であることを示す。SUMO1のレベルとSERCA2a自体のSUMO化は、不全状態の心臓では大幅に減少していた。心不全を起こしたマウスで、アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子送達によってSUMO1を回復させると、SERCA2aのタンパク質存在量が維持され、心機能が顕著に改善された。この効果はSERCA2a遺伝子の送達の場合と同等であった。さらに、単離心筋細胞でのSUMO1の過剰発現によって、収縮性が増大し、Ca2+の減衰が加速した。導入遺伝子を介してSUMO1を過剰発現させると、圧過負荷によって誘発された心機能不全が改善し、同時にSERCA2a機能が増強された。これに対し、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)を用いたSUMO1の発現抑制は、圧過負荷によって生じる心機能の悪化を加速させ、それに伴ってSERCA2aの機能低下が生じた。しかし、SERCA2aのノックダウンは、in vitroでもin vivoでも重度の収縮不全をもたらし、SUMO1の過剰発現では救済されなかった。以上を総合すると、我々のデータはSUMO化がSERCA2aの機能を制御するきわめて重要な翻訳後修飾であることを示しており、心不全に対する新規治療戦略の設計基盤を提供する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度