Letter

生化学:ポリ(ADPリボース)グリコヒドロラーゼの構造と触媒機構

Nature 477, 7366 doi: 10.1038/nature10404

ポリADPリボシル化によるタンパク質の翻訳後修飾は、DNA修復やクロマチン構造、有糸分裂、アポトーシスなどの、ゲノムの安定性に不可欠な多くの細胞経路を調節している。ポリ(ADPリボース)(PAR)は、独特なリボース–リボースのグリコシド結合で結ばれたADPリボース単位の繰り返しからなり、PARポリメラーゼによってNADから合成される。PARグリコヒドロラーゼ(PARG)は、PAR鎖に存在するリボース–リボース結合を特異的に加水分解できる唯一のタンパク質で、その欠失は細胞死につながる。今回我々は、糸状菌といくつかの細菌に、ヒトPARG酵素の主な特徴をすべて持つ別種のPARGが存在することを明らかにした。本論文では、好熱性放線菌Thermomonospora curvata由来のPARGの初めての結晶構造を示す。この構造から、その触媒ドメインが、広範囲に存在するADPリボース結合マクロドメインファミリーの遠い仲間であることがわかった。ADPリボース、およびPARG阻害剤であるADP-HPDと複合体を形成したT. curvata PARGの高分解能での構造に、生化学研究の知見を加えることで、PARGによるPAR結合と触媒作用のモデルが考えられた。PARGの構造と触媒機構に関する知見が得られたことで、PARG活性がタンパク質の可逆的ポリADPリボシル化を制御する仕組みの解明が大きく進むと考えられ、この制御の欠如がどのようにヒトの病気に結びつくかについても理解が深まる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度