Letter 医学:ヒトにおける多機構のがん標的性殺腫瘍天然痘ウイルスの経静脈送達 2011年9月1日 Nature 477, 7362 doi: 10.1038/nature10358 がん治療に用いられる生体分子、例えば、ペプチドや低分子干渉RNA(siRNA)などは、静脈内投与後に、腫瘍組織で正常組織よりも高濃度化が達成でき、そこで選択的に複製できれば、有効性や安全性を飛躍的に高めることができるだろう。これは、これまでヒトでは達成されていない。我々は、哺乳類で血液を介して全身に広がるように進化した天然痘ウイルスは、がん選択的に増殖するように遺伝子操作でき、導入遺伝子の経静脈送達および腫瘍での発現のための担体として使えるのではないかと考えた。JX-594は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)/Ras経路が活性化されているがん細胞内で複製、導入遺伝子発現、増幅ができるように遺伝子操作された殺腫瘍性(oncolytic)の天然痘ウイルスで、その後に細胞の融解、抗がん免疫をもたらす。本論文では、臨床試験により、JX-594が、静脈内注入後に投与量依存的にがん組織内で選択的に感染、増殖、導入遺伝子産物の発現を起こすことを示す。正常組織に臨床的な影響が及ぶことはなかった。この基盤技術は、ヒトの転移性固形がんに複数の相補的な治療剤および撮像分子を選択的に高濃度で発現させるような多機能性製品開発の可能性を開くものである。 Full Text PDF 目次へ戻る