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環境:北極ツンドラの未曾有の野火による炭素の喪失

Nature 475, 7357 doi: 10.1038/nature10283

北極のツンドラ土壌は、数百ないし数千年来の有機質土壌層に大量の炭素を蓄積しており、この土壌層によって永久凍土は断熱され、維持されている場合もある。完新世初期以降、このバイオームの大部分では火災が起こったことはほとんどなかったが、おそらく気候温暖化に応答して、火災の頻度と広がりが増大しつつある。しかし、ツンドラ景観の炭素収支に火災が与える影響は、ほとんどわかっていない。2007年のAnaktuvuk川の火災では、アラスカの北極斜面の1,039平方キロメートルが焼失し、ツンドラバイオーム史上最大の火災になるとともに、1950年以降の累積焼失面積が倍増することになった。本論文では、この火災でツンドラ生態系が2,016±435 g C m−2を失ったことを報告する。これは、火災被害を受けていないツンドラの正味の年間炭素交換量と比較して2桁大きい。この炭素喪失の60パーセントは土壌有機物に由来し、残存土壌層の放射性炭素年代測定から、喪失した土壌炭素の年代は、最大で50年であることが明らかになった。総焼失面積に換算すると、この火災で大気中に放出された炭素の量は約2.1テラグラムで、北極ツンドラバイオーム全体の正味の年間炭素シンクの、20世紀の最後の25年間の平均値に匹敵する量である。生態系規模とバイオーム規模のフラックスとを比較すると、火災で失われた生態系炭素の量は、ツンドラ火災の気候によって促進される被害増加が正のフィードバックとなる可能性を明らかにしており、北極の緑化が相殺されてツンドラバイオームの正味の炭素収支に影響が及ぶかもしれない。

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