Article 医学:加齢性黄斑変性症では、DICER1の欠乏がAlu RNA毒性を引き起こす 2011年3月17日 Nature 471, 7338 doi: 10.1038/nature09830 加齢性黄斑変性症の治療不可能な病型の後期段階である地図状萎縮(GA)は、網膜色素上皮(RPE)細胞の変性によって生じる。今回我々は、GA患者のRPEではマイクロRNA(miRNA)のプロセシングを行う酵素DICER1が減少していることを明らかにする。また、マウスでDicer1を条件的に除去するとRPEの変性が誘発されるが、他の7種類のmiRNAプロセシング酵素を除去しても変性は起こらないことがわかった。DICER1をノックダウンすると、ヒトRPE細胞ではAlu配列RNAが、マウスRPEではAlu類似配列B1とB2というRNAが蓄積する。GA患者のRPEではALu RNAが増加しており、この病原性RNAがヒトRPE細胞の傷害を誘発し、マウスでRPEの変性を引き起こす。Alu/B1/B2 RNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを加えると、miRNAの全般的な減少は見られるものの、DICER1欠乏によるRPE変性は防がれる。DICER1はAlu RNAを分解し、この分解されたAlu RNAはマウスのRPE変性を誘発できない。これらの知見から、DICER1にはmiRNAとは無関係に細胞を生存させる機能があって、それにはレトロトランスポゾン転写産物の分解がかかわること、および、Alu RNAがヒトの病変発生の直接の原因になりうることが明らかになり、失明の主な原因の1つに関して新しい治療標的が同定された。 Full Text PDF 目次へ戻る