Letter

医学:in vivoでのプリオンの増殖と毒性は機構的に異なる2つの相で生じる

Nature 470, 7335 doi: 10.1038/nature09768

哺乳類のプリオンは、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病や、動物でのスクレイピーおよびウシ海綿状脳症などの致死的な神経変性疾患の原因となる。プリオン感染は、通常は著しく長引くが状態が非常に安定した潜伏期間と、これに続く急速に進行する臨床段階からなる。プリオンの増殖、神経毒性種の生成、および臨床症状発症の間の関係はいまだにはっきりしていない。実験動物では、プリオン潜伏期が細胞内プリオンタンパク質の発現レベルと逆相関して変化することが知られている。本論文では、脳でのプリオンの増殖は2つの異なる相を経て進行することを明らかにする。初めに見られる臨床的に無症状の指数関数的増殖相は、プリオンタンパク質濃度によって速度が制限されず、迅速に最大プリオン力価に到達し、その後にこれとは明確に区別される平坦相が出現する。後者が、プリオンタンパク質濃度と逆相関する形で臨床発症時期を決定する。これらの知見は、感染性と毒性の間に連関がないことを示している。プリオン自体は神経毒性を持たないが、PrPCからの神経毒性種の生成を触媒すると、我々は考えている。プリオンの増殖が飽和すると神経毒性種の産生が開始され、感染性をもつプリオンの自己触媒型産生相(第1相)から毒性(第2相)経路への切り替えが起こる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度